さあ、夏だ、萬巻の原稿だ、となると、どうしても意気込んで新収品ばかりを並べようとしてしまいます。もちろん、新収品ばかりで目録を埋め尽くすことができれば結構ですが、現実的にはそこまで仕入れが追いつかず、過去に目録に使った品を再掲載するのはよくあることです。
毎号欠かさず萬巻をご覧いただいているお客さまにとっては、新収品ばかりで構成された目録の方が喜ばれるかもしれません。ただ、新しいお客さまもおられますし、いつものお客さまでも以前に興味なかった品に新たに興味を持っていただいたりすることもありますので、新収品でなくともご注文をいただけることは普通にあります。ちょうど先日も古書研の先輩古書店さんにそんな話をお聞きしました。
新収品でなかったら、「売れ残り」と思われてしまうかもしれませんが、一度の目録掲載で売り切ることが難しい品はあります。目録で何度も「この品はいいものなんです!いかがですか?」と訴求することによって、その品の面白味に気づいていただけることだってあります。お買い上げいただけるまでに、ある程度の機が熟す必要があることもあります。もちろん同じ品を2度、3度と目録に掲載する際には、新たに解説を加えるとか、写真の撮り方など見せ方を変えるとか、以前とは違ったコンテクストの中に配置してみるとか、古書店側の努力や工夫も必要とは思いますが・・・。
各店、知恵を絞って、良い目録をお届けできるように汗をかいております。いやはや、目録編集は勉強になりますね。