(リレー連載)キトラ文庫

小説に還る   キトラ文庫(安田 有)

この数年間に発行された小説(単行本)を70冊ばかり業者の市会(市場)に出品した。

最新刊、また去年発行の本も20冊ほどある。作家は三浦しをん、湊かなえ、宮部みゆき、角田光代、桐野夏生等々。

札が一枚も入らなかった。少しは予想していたことである。ちょうど100冊に足して次週の市会に出品した。それでも落札とはならなかった。千円(1冊10円)にも届かないということである。友人の本が大半であったので、廃棄するにしのびず、段ボール一箱分(入らない分は廃棄)を宅配便にして店に送り返した。

後日、店の100円均一台に並べた。三分の一くらいは売れた。

どの著者も評判高い作家の部類に入る人だろう。しかし、わたし自身、数年ほど前に宮部や桐野の作品を2、3冊読んだ切である。そこで少しは友人所有の本を読んでみることにした。

初めて高村薫の本を読んだ。『太陽を曳く馬』上下。(つづく)