モズさんが、「元糸」について仰っていたので、「これが正解」と言う意見ではないのですが、杉本梁江堂の内幕を少しをばらしてみます。
元糸は、なるべくおいています。そして足りない部分は、本の中に継ぎ目が来るように別の糸を足すようにしています。足す糸は、他の本から取った古い糸を常備します。古い糸は、ツブシにするような和本から取るようにしています。またそのような本からは、表紙・表紙裏の白い部分・角裂なども取っておきます。
もちろん「これは仕方がない」と言うものはすべて新しい糸に取り替えます。糸の色は表紙に合わせて色々替えます。
お客様が自分で修理・補修をされる場合もあるかもしれませんが、少しでも本屋が修理をしておいた方が親切ですし、角裂の取り替えなんてなかなか細かくて面倒な作業です。
目録などでよく「表紙替り」と解説で書いてあるものがありますが、杉本梁江堂でもボロボロになった表紙を、別の本から取った表紙に替える時もあります。
和本修理の内幕をばらして恥ずかしいですが、本の修理は「少しでもきれいな姿で売りたい」と言う気持ちの表れなので、ご理解下さい。
ちなみに杉本梁江堂では、和本や版画・一枚摺りなどの裏打ちについても秘密があるのですが、それは又機会があれば告白したいと思います。
ご本といえば…
モズさん、「元の糸」なんて捨ててしまったらどうですか~? だいたい、そのちぎれた糸をどうして「元糸」と言えるのですか? …すみません。私は和本はほとんど扱わないので、やっぱり洋本屋の乱暴な意見なのでしょうか…?
さてさて予告通り、函に硫酸紙を巻く方法です。
これさえ覚えれば白っぽい函も汚れしらず。
1.硫酸紙を函の大きさに合わせて切る。もちろん函を包むので縦は本の高さ+本の厚さ+アルファ。
横は函の幅×2+アルファ。

2.写真のように折る。

3.いずれかにのりをつけてぴしっと止める。反対側も同様に。のりをつけすぎると函に直接当たるので注意。

4.余った分を函の中に折り込み完成。函の内側にのり止めしたりセロテープで貼る方もありますが、
断然反対です。

あっけなく説明終了ですね。貼り函の天地を見ればおのずとお分かりになるでしょうが。
ちなみに矢野書房さんは先に折り込んでからのり付けされています。行程1→4→2→3の流れですね。薄い本は矢野さん方式の方がやりやすいかも。
私はこの作業が大好きです。うふふふ。
元の糸
連投すみません。モズブックスです。
和本の綴じ直しで思い出したことをひとつ。綴じなおすときに元の糸を残すべきかどうかという話です。
戦前の趣味雑誌によく見られますが、ごく簡単に2ヶ所くらいで結び綴じだけしてあるようなのありますよね。たとえば宮武外骨の「此花」とか。こういう綴じ方をしている雑誌は、糸が切れやすく、本がバラバラになりがちです。しかし、ちょっとでも元の糸が残っていれば、それを完全に取り除くことはせずに、新しい糸で補強するだけにしておいた方が良いみたいです。というのも、こういう雑誌は号によって糸の色を変えたりして、趣向を凝らしていることがあるからです。元の糸がどういう状態だったかを知るためにも、ちょっとでも残しておいた方がいいのだと、これはお客さんに教えられました。場合によっては、下手に補修せず、「綴じ糸切れ」と記載して販売する方がいいのかもしれません。趣味的な本ほど、こういう細かい点に気をつかいますね。
和本の場合は元糸なんてほとんど残ってないと思いますので、新しい糸に交換して問題ないと考えてますが、いかがでしょうか? どなたかご教示ください。
Re: 落丁繰りは慎重に!
こんばんは。モズブックスです。
杉本梁江堂さんが前の投稿で書いておられる和本の「飛び丁」、古典籍をさわるようになって日が浅い私も、当然のこと、最初は???、まったく意味不明でした。いろいろ勉強していくうちに、出版書肆がページを多く見せかけるために、(つまり商売上の理由で)、わざと落丁をつくりだして「十五より二十五」とすることがあったと知りました。後刷のときにコストを抑えるため、挿絵ページをなくした結果、ノンブルが飛ぶこともあったようです(版木を売買している間に紛失したケースもあるとか…)。そういう場合は、初刷がどういう状態なのか知っていなければ、落丁かどうか判断がつかないことにもなるので、和本の世界の奥深さを否が応でも知らされてしまいます。
ちなみに杉本梁江堂さんの落丁繰りのやり方は非常に格好良いです。じっと見てても、容易には技を盗めません…。即売会の時に奥でやっておられるときもありますので、見つけたら観察してみてください。次代に継承すべき古本屋の職人技です。