本を、括る話(写真入)。

モズブックスさんに褒めていただいたので気をよくして、厚生書店の「紐くくり講座」~!
注1:紐を持つ右手は火事が起こっても赤子泣いても離さないこと! 常に紐がピンと張るように引っ張っておく。
注2:紐の動きは(右利きの場合)時計回りのみ。
1.台の端っこに本を積み上げ、最後に蝶結びを出来る分だけ紐を余らせる。

2.左手で左に出た紐を固定しながら横向きに紐を回す。この時、本の背を「支点」にして、少々体重をかけながら下方向へ引く(手首を返して「押す」とより力が入りやすい)。※上手な人はこの時紐が「キュッ、キュッ」と鳴く(ビニールの伸びる音と思われる)。また、2重に回すとより強度が増す。
右手の人差し指でテンションが緩まないように紐の中心を押さえ、左手を離して…

3.右手の上から交差させるように左手を廻し最初に余らせた紐の尖端を本の天に向かって引っ張る。この段階で横方向のテンションはほぼ固定される。両手のテンションを保ったまま…

4.本の山を左へ90度回転させ、1.と同じ要領で右手を時計回りに廻し、本の天で蝶結びにする。

…梁山泊でバイトを始めた初日に、店主の島元健作さんから教わりました。
3.で紐をねじる時、より緩みにくいように一工夫する方もありますが、その箇所が「コブ」のようになり表紙を傷める気がするので、私は梁山泊方式を貫いています。
それでもやはり少しコブ状になるため、最近は一番上の本は裏返して裏表紙がコブに当たるようにしています。
また、端になる本が傷みやすいので本の山の一番上と一番下にはなるべく並製の本がくるようにしています。函入りの本もなるべく端にこないようにしたいものです。
「本が傷むから」とゆるく紐をかけると、本が動いてむしろ傷みやすいと私は思っています。
紐がゆるんで本をばらまくとより一層傷むので、注意が必要です。
ちなみに、私も古い紐はあまり使わないです。
…次回は本の修繕などご紹介したいですが、文章で伝えるのは非常に難しいですので、他の人にお願いしたいですねぇ。
「たにまち月いち古書即売会」
 たにまち月いち古書即売会、7月15日(金)から17日(日)まで。(土)にはたにまちこどもアート!
 於・大阪市中央区粉川町4-1大阪古書会館06-6767-8380
 http://www.jade.dti.ne.jp/~kosho/
第14回「天神さんの古本まつり」
 平成23年10月7日(金)から11日(火)まで
 於・大阪天満宮境内 午前10時~午後5時ごろ


達人の共通点

 確かに、厚生くんは、本を括るのが上手です。あと、唯書房さんも。括った本の束を持っても、ぴくりとも、緩まない、完璧な、仕事。二人は本括りの達人です。よく一緒に市場のウブ荷を括るのでずが、いつも、自分のやった束が、二人のモノに比べて緩いーー密かな、コンプレックスになっています。

このふたりには、梁山泊(父)系?とい共通点があります。たぶん、どこか山奥に、本括りの特訓場があって、そこで、島元氏にみっちり訓練をうけたのではないでしょうか?息子である草多くんが本を括っているところはあまり見たことがありませんが、どうなんだろうか?気になるところです。


本を括る話

こんばんは。モズブックスです。

象々さんの本を括る話、興味深く読みました。古本屋になる前は、本を括ることなんて考えもしませんでしたが、今では古本屋は本を括れてナンボという気がしています。

古本屋になりたての頃、先輩方が上手に本を括っているのを見て、どうやったらああいう風にできるのだろうと思いました。厚生書店さんの括り方をじっと観察していると、決して力任せに紐を引っ張るのではなく、要所要所で梃子の原理を利用しながら力を加えて、キュッキュッと実に小気味よく、本を括っていきます。「これだ!」と思い、もっとよく厚生さんの括り方を観察して、「門前の小僧習わぬ経を読む」ではないですが、何とか見よう見まねで人並みに括れるようになりました。

お客さんのところに本の買取にいくと、本を段ボール箱に入れるのではなく、紐で括って持って帰ります。箱に入れてしまうと、中に何が入っているのか分からなくなりますし、また車に積める量が少なくなってしまうからです。本を置いてある状況にもよりますが、私の経験上では、だいたい1時間で700~800冊くらいを括ることができるようにはなりました。他の方と比べたことはないので、早いかどうかは分かりませんが・・・。

本を括るのも結構奥が深く、文庫の場合、四六判やA5判の場合、A4判くらいの大判の場合、B4判~A3判くらいの大型本の場合で、それぞれ括り方を変えて、本が傷まないように注意しています。いろいろテクニックはあるのですが、これはまた別の機会に・・・。


倉庫の思い出

 もう17、8年も前の話。横浜で、4店舗ほどのチェーン店がある古本屋でアルバイトをしていた時のこと。京急日ノ出町駅近くの高架下の倉庫に従業員が集められ、年に一回、人の背丈の倍程も積み上がった(どうしてそうなるのか判りませんが)本の山を整理する日がありました。社長が宅買いに回ってそのまま放り込んでおいたものを、各店必要に応じて持ち帰るーー薄暗い、二階建ての倉庫の中で、店長たちと、おお、こんな本が埋もれていた、なんでこんな本買ってくんねん、これ、うち客おるから貰てくで(関西弁ではありませんでしたが)などとおしゃべりをしながら、埃をかぶった本の山を体力勝負で崩してゆき、ジャンル分けして、ビニール紐で括ってゆく。しんどいですが、色々発見もあって、古本屋にとっては楽しい時間、なのですが、僕はまだ駆け出し中の駆け出し、どうも、本を括る手つきが怪しい。先輩たちは笑いながら本の結束の仕方を教えてくれるのですが、不器用で少しも上達しない。店長たちが20~30冊くらいの山に積んだ本をテンポよく何本も括っている間に、よたよたと、1本2本、括ったと思ったら、ビニール紐の束を縺れさせ、それをもたもた解いて、少しも、役に立たない。古本屋という仕事が、案外、肉体労働であると知ったのはこの時でした。おまけに、ふらりと姿を現した社長に、新しい紐の束を使っているのを見とがめられ、「こんなに(使い古しの)紐が一杯落ちてんのになんで新しいの使うんや」と激しく怒られ、バブル期に青春時代を過ごした僕にはかなりのカルチャーショックだったのを憶えています。紐の長さが足りない時は、ビニール紐を半分に裂いて長さを確保する、という技も、社長から教わりましたが、さすがにそれはどうかと、今でも思います。そんなこと云うてたら、この新しい紐、いつ使うねん。

ちなみに、本を括るのは、未だあまり上手くありませんが、最近の若い人(なんて云い方まだ早いかもしれませんが)は、その僕よりもさらに、下手です。丁稚→番頭→独立、という徒弟制度的な古本屋が少なくなって来ている、ということなんでしょうか。本を括るのが上手な本屋さんを見ると妙に安心するのは、僕だけでしょうか?