古本をきれいにするということ

こんばんは。モズブックスです。連投失礼します。

仕入れた本はできるだけ良い状態にして販売したいものです。もちろんここ10年くらいに出た本と、戦前に出た本を並べて、「できるだけ良い状態」とはどんな状態か?ということを議論したって、何の意味もありません。程度の問題、経年相応ということについて、古本屋サイド/お客様サイドの双方に共通認識があると前提した上での「できるだけ良い状態」ということです。

最近、古本買取サイトというのがよく目に付きます。だいたいどこも似通った構成で、オリジナリティーがないどころか、文章までコピペ使用してるところが多いですね(ウチもチラシからHPから、ずいぶんコピペされました、やれやれ)。そういうところをいろいろ見ていますと、なかに「高価買取のコツ」みたいなコーナーがあって、「本をきれいな状態で保管していた方が高く買い取れます」というようなことを説明しています。まあ、汚れた本よりはきれいな本の方が確かに高くなるでしょう。と、そこまではいいのですが、一歩進んだところになると「本は買い取ってもらう前にきれいにしておきましょう」と呼びかけていたりします。その方法として「カバーの汚れは食器用洗剤できれいに落ちます」など、かなり踏み込んだ内容になっています。「本を買い取ってもらう前にきれいにしておいた方が、古本屋が商品化するときにきれいにする手間が省けるから、そのぶん高く買い取れる」とまで書いているところもありました。本当なのでしょうか?

いや、これが本当かどうか、それはこの際どうでもいいのです。問題は「本をきれいにするのはお客さんなのか古本屋なのか、どっちであるべきなのか?」という点につきます。私の考えでは、お客さんにきれいにしてもらうのは筋違いです。きれいにしようと思って食器用洗剤を含ませた雑巾でごしごしカバーをこすってるときに、ビリッと破れてしまったり、PP加工していないカバーを拭いてしまって、印刷がかすれてしまったり、さまざまな不可抗力で本を傷めてしまうことが想定されます。

たとえば、空き家で何年も本棚に立てたままの本の天には埃がおどろくほど積もります。これを濡れ雑巾で一気に拭いてしまうと、埃シミが天にへばりついてとれなくなります。濡れ雑巾を使う前に、刷毛で埃を払うのが先で、こうすると埃シミは最小限で済みます。

いちいち例を挙げていくとキリがないのでやめますが、私は、古本屋は古本をきれいにしたり、補修したりすることも、日常の業務であり、スキルであると思っています。どういう汚れにはどういう薬剤を使うか、どういう道具が必要になるか、古本をきれいにするための七つ道具みたいなもの、それは古本屋ごとにいろいろ工夫されていることと思いますが、その大前提として、繰り返しになりますが、われわれ古本屋は古本をきれいにしたり、補修したりすることも、日常の業務であり、スキルだということを確認しておかねばなりません。函が壊れているのを補修する、カバーをきれいにする、小口はページを繰ったときにザラッとした埃っぽさが残らないようコザッパリ仕上げる、あと和本の綴じ直しとかもそうですね。古本をきれいにしたり、補修するのは古本屋の仕事です。

ですので、「本を買い取ってもらう前にきれいにしておいた方が、古本屋が商品化するときにきれいにする手間が省けるから、そのぶん高く買い取れる」と書いてあるのを見たときには、かなりの違和感を感じました。私なら、お客さんには、「いっさい本をきれいにしようなんて思わなくていいです、そのまま、埃をかぶったそのままの姿で拝見させてください」と言います。そして埃のかぶった本をそのまま倉庫に持ち帰り、掃除機のノズルの先にブラシを取り付けて、埃をきれいに吸い取ってしまいます。これだと刷毛で掃くのに比べて、倉庫に埃が舞わないし、本にダメージを残さず埃を取り除けます。

まあ、いろんな古本屋さんがいますから、どれが正しい正しくないとは言いにくい面もありますが、少なくとも大阪古書研究会のメンバーは、私の考えに賛成してくださるのではないかと思っています。いや、賛成どころか、いまさら当たり前のことを長ったらしく得意げに書くな、と叱られてしまうかもしれませんが…。


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文科系古書の良書・善本を主に取り扱っています。絵葉書・古地図・摺物・古典籍など江戸末~明治・大正・戦前期の資料にも力を入れております。店舗はありませんが、インターネット、合同目録、即売会など多様な販売チャンネルを展開するとともに、お客様からの買い入れや古書市場を通じて、在庫の充実に努めています。

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