こんばんは。モズブックスです。
象々さんのような面白いエピソードは何もないのですが、古本屋をはじめる前は某出版社に勤めていました。ちょうど10年で辞めてこの世界に飛び込んだわけですが、先日、ただひとりの同期入社君が、今月末でその会社を退職するという話を人づてに聞きました。
この会社へはふたりとも中途入社枠で入ったんです。90年代半ば、完全な買い手市場の時でした。朝日新聞の求人欄を見てふたりとも応募したのです。入社後に聞いたところ、応募は500人以上あったとかで、何のスキルもないドロップアウト組のふたりが、なぜか、本当に不思議なのですが、拾われたわけです。
この同僚はプロレスラーのように立派な体躯でしたが、気持ち的にどこか打たれ弱いところがあり、ある日、夜遅くまで残業してるときに、上司に叱られて泣きながら仕事してたのを思い出します。私は結構そういうことは内に秘めて淡々と仕事するタイプでしたが、彼は感情をオモテに出すことで気持ちを安定させるタイプで、私はそういう彼が羨ましくもあり、そして、なかなか憎めない男だと思ってました。
プライベートでの付き合いはまったくなかったので、私が先に会社をやめて古本屋をはじめてから連絡はお互いしてません。彼が今月末で退職する理由は、長年の夢を叶えるため、ということみたいです。後ろ向きな理由じゃなくてよかったです。
彼は15年で辞めることにした訳ですが、そう考えると、定年まで勤め上げるというのがどんなに大変なことか、今さらながら思い知らされてしまいます。とくに組織の人間として長年ひとつところにいるというのは、本当に大変なことです。
大阪の古書組合には、毎年、何名かずつ新しい人が入ってきますが、その前歴はいろいろです。いろんなスキルや経験を持った人が、新しく古書組合に入ってくるのは、古本業界の活性化にとっても必要なことだと思います。そういう新しい人は、従来の古本屋が見向きもしなかったジャンルの本に、価値を見出して商売につなげたりと、感心させられることも実に多いのです。