夢破れて、天神さんの古本祭りを思う。

 ここ何週間か、象々は迷いの道を彷徨っていたのでした。親方のお店から独立して十年、まだ、たったの一度も儲けたことがないものですから、長い間積もりに積もった儲けたい儲けたい欲が、ただの棒切れを、輝くばかりの黄金に見せる、なんとも嫌らしい病にかかっていたのです。お金が欲しい、というより、大モノを扱いたい、という気持ち、古物の世界の一番の醍醐味に取り付かれていたのですね。欲目の、商いは、あきまへんなあ。今日からは、しっかりと足下を見つめた商売に徹して、天神さんの古本祭りに備えてゆきます。ですから、お客樣方も、たまには古本屋の兄ちゃんに儲けさしてやろ、てな気持ちになっていただいて、いまから、少しずつ、天神さん貯金でも、おねがいできればと。ねえ、モデルナくん。


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