今年の天神さんは毎日イベントあり!

「今年の天神さんは毎日イベントあり!」をキャッチフレーズに毎日5つのイベントを開催します。

10月16日(金)
■ 本のへそくりを探せ!
 参加各店の本に隠された栞型の金券(500円×3枚)を見つけよう。
 見つけた金券はそのお店で使えます。
 時間:14時~16時

10月17日(土)
■ 江戸川乱歩作品の読書会「乱読夜話」 名作「孤島の鬼」を読む
 時間:12時30分~15時30分(集合12時15分 境内休憩所横)
 会場:大阪天満宮境内 梅香学園

10月18日(日)
■ 出張!アワヒニビブリオバトル
 時間:14時~15時30分
 会場:大阪天満宮境内 梅香学園
 発表:6名(主催:アワヒニビブリオ)
 ※ビブリオバトル公式ルールはこちらから http://bibliobattle.jp

10月19日(月)
■ 本の紐掛け講座
 時間:14時~
 会場:大阪天満宮境内 百円均一本コーナー

10月20日(火)
■ 本の箱詰め講座
 時間:14時~
 会場:大阪天満宮境内 百円均一本コーナー

 

新型コロナウィルス等の感染予防対策として、参加店一同、マスク着用、健康管理・手指消毒の徹底を行います。
ご来場のお客様にも、マスク着用や手指消毒、咳エチケット、適切な距離をお取りいただくなどご協力をよろしくお願いいたします。

皆様のご来場をお待ちしております。


「萬巻 28号」 発行されました

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合同古書目録「萬巻28号」が発行されました。

カラー写真版44ページ、モノクロ写真版7ページ、本文16ページと
各店選りすぐりの古書を掲載した充実の内容となっております。

また、天神さんを舞台にした時代小説『銀二貫』の作者、
髙田郁さんの書き下ろし巻頭文も掲載されています。

目録参加店は、以下の15店です。

「天神さんの古本まつり」「合同目録 萬巻28号」共に参加の書店
・キトラ文庫  ・厚生書店  ・書砦梁山泊(大阪店)  ・古書キリコ
・杉本梁江堂(天神橋店)  ・汎書店  ・モズブックス  ・駱駝堂
・矢野書房  ・矢野書房(天満橋店)

「合同目録 萬巻28号」のみ参加の書店
・唯書房  書苑よしむら  ・ハナ書房  ・moderna  ・悠南書房

毎回お送りさせて頂いているお客様には、今週末以降、順次お届けの予定です。
ご希望のお客様は、お近くの上記参加各店にお問い合わせください。(残部僅少)

抽選日は、十月六日(月)となっております。
ご高覧いただきまして、一点でも多くのご注文をお待ちしております。

どうぞよろしくお願い申し上げます。

 


(リレー連載)キトラ文庫

小説に還る   キトラ文庫(安田 有)

この数年間に発行された小説(単行本)を70冊ばかり業者の市会(市場)に出品した。

最新刊、また去年発行の本も20冊ほどある。作家は三浦しをん、湊かなえ、宮部みゆき、角田光代、桐野夏生等々。

札が一枚も入らなかった。少しは予想していたことである。ちょうど100冊に足して次週の市会に出品した。それでも落札とはならなかった。千円(1冊10円)にも届かないということである。友人の本が大半であったので、廃棄するにしのびず、段ボール一箱分(入らない分は廃棄)を宅配便にして店に送り返した。

後日、店の100円均一台に並べた。三分の一くらいは売れた。

どの著者も評判高い作家の部類に入る人だろう。しかし、わたし自身、数年ほど前に宮部や桐野の作品を2、3冊読んだ切である。そこで少しは友人所有の本を読んでみることにした。

初めて高村薫の本を読んだ。『太陽を曳く馬』上下。(つづく)


(リレー連載)古書キリコ

棚卸し[たなおろし]

売れない本を倉庫に引っ込めて、あたかも品が回転しているように客に示す方法。毎日か、または日を決めて少しずつ棚の本を動かさないと、客が見飽きて、この店は売れない店だときめてかかられると客の購買感が低下するのを防止するために必要な行為。
(「古書キリコ通信」第2号 「古本屋業界用語辞典」より)

かなりむかし、開店後間もなくして刊行したミニコミ誌での一節である。冗談交じりに始まったこのミニコミ誌は少部数であったにもかかわらず好評を博した。特に書き手の一人であったH氏は客の立場から古本屋の生態を観察することに長けていたようだ。たとえば次の項目。

隠れる[かくれる]

競取師やイヤな客が来ると主人は妻や従業員に店をあずけて、その場を退散する意。主人の心の配慮を意味する。

また次の項目。

ゴウダツ[ごうだつ]

漢字で「強奪」と書く。古本屋で店主が本の品定めしているときに顧客が値の着いていない品を、「ソレ、いくらだ」と、その場で買う場合をいう。これは、店主が無防備な状態を客がつかさず買手という立場を利用して責める手だ。店主は知り合いの客に無茶な値も言えないし、その場の即対応、ふいをくらった状態だ。よくインドネシアの漁民がするダイナマイト漁法に似たものだ。この漁法は魚がいそうな場所を狙ってダイナマイトに火を付け投げる。それをくらった魚は強烈な爆音に失神し海面に浮き上がる。(以下略)

なんとも凄まじい話だ。しかしこれは古本屋にとっては日常茶飯事にすぎない。後でふりかえってみて、それが通過儀礼のようなものであったことに気づくのだ。だからなおさら慎重にお客と接しなくてはならない、そう自分に言い聞かせてはきたのだが・・・。

こんなことを言いだしたのは、そろそろこの業界から足を洗いたいと思った矢先、店が立ち退きになり移転の話が飛び込んできたからで、だれかが耳もとでささやく声が聞こえたような気がしたからだ。そのだれかとは?と問い質したとき、長年のお客の顔が見えてきた。そのひとつひとつは私を遠巻きにしておもむろに近づいてきてはこうささやくのだ。
「またお店に行きますよ」
「久しぶりですね、キリコさん、三年ぶりかな」
「下鴨で会うなんて! お店、がんばってください」
「暑くなりましたね、まずはビールでも」
「この店、冷房ないの?」
「冬はちょっと寒すぎるね。早くエアコンつけなさい」
「お金ができたらまたどこかで一杯やりましょう」等々。
そんなわけで廃業はおろか、店を継続することになった当店。一握りにすぎぬと思っていたところ、意外とお客、もしくはファンが多いことに気づいた。そのなかには困った人も多いが、歳月を経れば、それがその人の個性となり、ないとさびしい癖のようにも思えるようになった。「ゴウダツ」で失神するのはゴメンだが、当店、苦手な客が来てもこれからは「隠れる」ことなどしないつもりだ。約束はできないが、隠れるにはせますぎるし、かばってくれる妻や従業員もいまはいないからだ。

因みにミニコミ誌「古書キリコ通信」は創刊号が1996年、第2号がその翌々年に発行された。原版は、勤務時間が終わってから人目をはばかるようにしてH氏が職場のパソコンで作り、それを私が印刷屋に持っていって、出来上がったものを店で配った。H氏は当時を回想し、ひやひやドキドキものだった、バレレバお縄ものだからね、とよく私にこぼしたものだ。H氏の努力なくして、このミニコミ誌は生まれなかった、と言っていい。

ところで当のH氏だが、このところ音沙汰ないが、実はすぐ近くにいる。たまたま店が彼の通う職場の近くに移転したからだが、私はまだこの朗報?を彼に伝えていない。でも、もうそろそろ、とも思っている。最近流行りのサプライズも一興かなと、ひとりひそかにその日のことを想像しては仕事の手を止め笑いをこらえている。